ガスセンシング技術による地震予知の精度向上
私たちの使命は、ガス検知技術を活用して学術機関や政府機関の重要な研究を支援し、自然が私たちに何を伝えているのかをより深く理解できるようにすることで、自然災害の影響から人命と資源を守ることです。

もし地震の発生時期を予測できれば、壊滅的な地震の影響にどのように備えることができるかを想像してみてください。地震を確実に予測することはできませんが、科学者やエンジニアは目に見えない早期警報信号をより正確に特定し理解するための研究に取り組んでいます。
「自然は常に何が行われているかのシグナルを送っています。私たちはこれらのシグナルに適応し反応する能力を向上させるために、これらのシグナルを聞き、測定し、数値化する方法を学ばなければなりません」と、経験豊富な大学教授であり、INFICONの上級研究科学者アンドレス・ディアス博士は言います。「もし『より良く聞く』ための正しいツールがあれば潜在的な有害現象を予測し、それに対してより良く準備することができます。これはハリケーンで実行されており、科学者たちは進路を予測し人命の損失を防ぐために対象地域の住民を避難させ被害を最小限に抑えることができます。火山噴火や地震でも同じことを行う方法を学ぶことができるでしょうか?私はできると思います。ガス放出の継続的な測定が、そのための糸口と道筋を提供します。
中国では、地震予知研究所が地震予測の糸口を見つけるために、複数のモニタリングステーションでガス放出を研究しています。研究所の専門家と国際的な研究者は大地震の数日前でもガス濃度レベルとガス比率が変化することを確認しており、これが地震モニタリングプロジェクトの推進力となっています。このシグナルに影響を与える要因を完全に理解するためには、継続的な長期モニタリングを通じてこれらの観測結果を検証する必要があります。ガス濃度レベルを検知し数値化する技術はいくつかありますが、そのうちのひとつがガスクロマトグラフィー(GC)です。これはサンプル中のガス分子をあらかじめ用意されたカラムへの親和性に応じて分離し、MEMSベースの熱伝導度検出器で数値化するものです。


この画期的な研究を支援するために、研究所は地震モニタリングのような伝統的な方法と組み合わせてガス放出の推定値を監視し、検証するツールとしてINFICONのMicro GC Fusion ガス分析装置®を選びました。INFICONとの協力で、中国政府は断層線近くの選ばれた温泉地帯から漏れ出るガスを1年以上追跡しています。そしてそのデータは地震活動によって明らかになる地球のコアの圧力と相関関係があり、長期にわたるデータ収集への道を開きます。
「地震の際には人命と資源が危険にさらされます」とディアス博士は言います。「断層や火山地帯でのガス放出は、地球内部で何が起こり、それが地表や私たちの生活にどのような影響を与えているのかをより良く理解する直接的な方法を提供します。研究所はガス分析機器の最先端を行くINFICONの技術力の助けにより、地震科学と対応戦略における影響力のある研究を主導しています。」
GCテクノロジーの役割と影響
提供されたMicro GC Fusionのユニットは、中国の異なる省にある 2 つのマルチパラメータ地球化学モニタリング ステーションで有望な結果をもたらしました。保護筐体の中に安全に収容されたこれらのステーションは、地球化学変化を追跡し、早期警報システムをサポートするために不可欠な信頼性の高いリアルタイム データを提供します。
この共同研究は非常に成功したため、研究所では次の段階としてガスモニタリングの実施をさらに多くのステーションに拡大し、将来的には中国全土の活断層地域をカバーする規模に拡大することを目標としています。


ガスクロマトグラフィー技術のテストと実施に加えて、この協力関係はINFICONのTranspector® MPHを使用したin-situ質量分析や、INFICONの高感度WiseTechnology®センサーをベースに地球科学研究用の特別な「リークディテクター」を使用した大気中のヘリウムモニタリング検出など、他のガス分析技術のフィールドテストにも拡大しています。
Micro GC Fusionを使用することにより地球化学モニタリングステーションで放出される水素、ヘリウム、メタン、エタン、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、硫化水素などのガスの検出と定量化を容易にします。ディアス博士は地球内部の圧力上昇が井戸で発生する放出ガスの組成を変えると説明しました。このシステムは直接ガスサンプリングラインを装備しており、統合されたろ過機能が微粒子の侵入や干渉を防護しながら放出ガスを継続的に分析します。このシステムにより、これらの地震多発地域における地球化学的な変化を観察する上で重要な、正確で途切れることのないモニタリングが保証されます。
収集したガスの精密なデータ分析を通じて、研究者たちは地震活動とガス放出のパターンに関する貴重な洞察を得ることができます。 濃度とガス比率は重大な地震活動の前兆として、壊滅的な事象が起こる数日前であっても使用することができます。現在研究対象となっている地域は、地震多発地帯内の21都市に及びます。最終的にはこの技術により、より効果的な地震予知が可能となり人命保護の能力が向上します。
自然災害における人命保護予測の進歩
地震は世界的な脅威であり、大惨事や人命の損失を引き起こす可能性があります。地震活動の潜在的な前兆を特定することで、INFICONの製品はこのような災害の影響を軽減する上で重要な役割を果たします。
これらの壊滅的な出来事を予測することを目的とした進行中の研究への関与に加え、私たちはMEMSベースのMicro GC Fusionの検出限界を百万分の一(ppm)レベル以下に改善する作業を続けています。また地震研究所と協力してオンライン視覚化ソフトウェアにステーションのフロー制御とデータ収集をプログラムし、世界中のどこからでもリアルタイムで利用できるようにしています。この高度なシステムは研究所の早期警報能力を高め、被害を受けやすい地域社会に効果的にリアルタイムのデータを提供することを可能にします。地域の当局や利害関係者と協力することで、INFICONは災害管理システムに当社のモニタリング技術が効果的に統合されることを保証します。
早期警告と準備措置によって、地震発生時に地域社会は行動を起こす力を得ます。地震予知にMicro GC Fusionを応用することは、災害への備えにおいて大きな進歩を意味します。その実装を通して私たちは地震の壊滅的な影響から人命、資源、インフラ、環境を守ることを目指しています。
INFICONでは技術的ソリューションを提供し、パートナーや協力者たちとともに研究と革新の最前線に立つことを誇りに思っています。


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NASAやチューリッヒ工科大学などのパートナーとの未来技術に関する研究プロジェクトの概要。私たちは技術革新を進め、技術の限界を押し広げる努力をしています。

チューリッヒ工科大学のロボットシステム研究所と共同で、ARAMMIS(Autonomous Robots for Area Mapping, Monitoring, and In-situ Sensing)というプロジェクトに取り組んでいます。私たちの焦点は、先進的なガス検知ペイロードを車輪付き脚ロボットに統合することです。

半導体、エネルギー、セキュリティーなど多くの産業におけるガス検知と真空測定のエキスパートとして、私たちのチームは常に「次のイノベーション」を模索しています。